理念・ビジョン・戦略

孫 正義 ソフトバンクグループ代表挨拶

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理念・ビジョン・戦略

孫 正義 グループ代表挨拶

「情報革命の資本家」として
AI起業家たちと共に未来を創る

「ソフトバンクグループとはなんぞや」ということをよく聞かれます。ここ数年は説明を端折って投資会社とお話ししてきましたが、改めてソフトバンクグループを定義したいと思います。それは、「情報革命の資本家」だということです。

18世紀後半に英国で始まった産業革命は、蒸気機関による工業化を皮切りに、19世紀に各国でさらに進展を遂げました。それを牽引したのは、ジェームズ・ワットに代表される発明家たちです。ただ、リスクを取って発明家に資本を提供したロスチャイルドに代表される資本家の存在も欠かせませんでした。発明家と資本家が一緒になって産業革命を牽引し、世界のGDPはその後、どんどん成長を続けていったのです。それから約200年経った21世紀の今、情報革命が大きく花咲こうとしています。情報革命において産業革命の発明家に相当するのが起業家たちです。そして産業革命と同じように、資本家が起業家に対して多くの資本を投入することで、情報革命が着実に進展しているのです。ソフトバンクグループは、その最先端の部分であるAI(人工知能)分野に特に注力したいと考えています。おそらくAIの分野においては、ソフトバンクグループが起業家に最も多くの資本を提供していると自負しています。AIによって、自動運転、医療、金融、教育、小売などのあらゆる産業が再定義されようとしています。産業革命で人力が機械に置き換わったように、情報革命では機械がAIに置き換わっていくでしょう。

投資家にとって最も重要なゴールはお金を作ることですが、資本家にとって最も重要なゴールは未来を創ることです。産業革命ではロスチャイルドが資本家の中心として、発明家とビジョンを共有し、現在にまで至る(当時から見た)未来を、われわれの生活の礎を築いてくれました。情報革命ではわれわれソフトバンクグループが資本家として人々のための未来を創ることを使命とし、その実現を目指しているのです。これこそが「情報革命の資本家」の意味するところです。

特にAIが牽引する情報革命においては、AIを駆使する起業家とソフトバンクグループがビジョンを共有して、一緒に未来を創っていくのだと志しています。

最近、「ソフトバンクグループはVC(ベンチャーキャピタル)なのか」と聞かれることがあります。分かりやすくいえば巨大なベンチャーキャピタルなのかもしれません。しかし、同じVCでも、ソフトバンクグループは数十年のスケールで情報革命の未来を創るVision Capitalだと考えています。われわれの経営理念である「情報革命で人々を幸せに」に込めた思いは、業態が何度変わろうとも、約40年前の創業一日目から一度も変わっていません。情報革命の資本家、Vision Capitalistとしてこの理念を実現していきます。

ソフトバンクグループ代表 孫 正義

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