2026年7月21日掲載
仕事でスマートフォンを使う機会は多くあります。しかし、最近は高性能な機種が増え、本体価格が10万円を超えることも珍しくありません。
そのため、
・10万円を超えるスマホは経費にできるのか?
・分割払いで購入すると、経費も毎月少しずつ計上することになるのか?
と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、10万円以上のスマホでも、条件を満たせば事業で使い始めた年に全額を経費として計上できる場合があります。また、分割払いで購入した場合でも、経費は支払い回数に合わせて計上するとは限りません。この記事では、10万円以上のスマホを分割払いで購入した場合の経費処理の考え方や、一括で経費計上できるケース、仕訳の方法まで、個人事業主の方にもわかりやすく解説します。
【免責事項】本記事に掲載している仕訳例や税務ルールは一般的な事例に基づく解説です。実際の経費計上にあたっては、管轄の税務署や税理士などの専門家にご相談ください。また、税制改正等により内容が変更される場合があります。
10万円以上のスマホは、通常は「固定資産」として扱われ、数年に分けて経費として計上する「減価償却」が必要です。
ただし、青色申告をしている個人事業主などは、一定の条件を満たせば特例を利用できます。特例が適用されれば、10万円を超えるスマホでも、使い始めた年に全額を経費として計上できます。
まずは、一括計上できるケースと、減価償却が必要になるケースを確認していきましょう。
青色申告をしている個人事業主などは、「少額減価償却資産の特例」を利用できる場合があります。この特例を利用すると、一定金額未満のスマホは、事業で使い始めた年に全額を経費として計上できます。
2026年(令和8年)4月の税制改正により、この特例の対象となる金額は、1台あたり30万円未満から40万円未満へ引き上げられました。
例えば、15万円のスマホを購入した場合は、この特例の対象となるため、条件を満たせば事業で使い始めた年に全額を経費として計上できます。また、40万円未満であれば、これまで対象外だった30万円を超える高性能なスマホも、一括計上できる可能性があります。
なお、この特例で一括計上できる資産の取得価額には、年間300万円までという上限があります。
原価償却となる条件
白色申告の場合や、スマホの購入金額が特例の基準額(30万円未満または40万円未満)を超える場合は、原則として「減価償却」を行います。
減価償却とは、購入費用を一度に経費にするのではなく、使用できる期間に分けて少しずつ経費として計上する方法です。
スマートフォンは、実務ではパソコンと同じ「4年」の耐用年数で処理されることが一般的です。
一般的な例
なお、国税庁の耐用年数表では「電話設備」は耐用年数10年とされています。スマートフォンの扱いについて判断に迷う場合は、管轄の税務署や税理士に確認すると安心です。
分割払いでスマホを購入しても、経費を毎月少しずつ計上するわけではありません。経費を計上するタイミングは、支払い日ではなく、スマホを事業で使い始めた日が基準になります。分割払いでも、一括払いでも、経費の計上方法の考え方は基本的に同じです。
分割払い(割賦契約)でスマホを購入した場合でも、使い始めた日に本体価格の総額を帳簿へ計上します。
例えば、12万円のスマホを24回払いで購入した場合、帳簿には使い始めた日付で12万円を計上します。
また、青色申告の「少額減価償却資産の特例」の対象となる場合も、この本体価格の総額をもとに判断します。代金の支払いが終わっていなくても、条件を満たせば事業で使い始めた年に一括で経費として計上できる場合があります。
使い始めた日に本体価格の総額を計上したあとは、毎月の支払いは「未払金」を減らす処理を行います。
具体的には、次のような流れです。
毎月支払う代金は、購入時に計上した代金を分割して支払っているだけなので、その都度経費になるわけではありません。
スマホの経費処理は、本体価格(取得価額)によって方法が異なります。
まずは、金額ごとの処理方法を表で確認してみましょう。
| 本体価格 | 処理方法 | 経費計上の方法 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費 | 購入した年に全額 | 青色・白色申告 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産 | 3年間に分けて計上 | 青色・白色申告 |
| 40万円未満※ | 少額減価償却資産 | 使い始めた年に全額 | 青色申告 |
| 40万円以上※ | 減価償却 | 一般的に4年間に分けて計上 | 青色・白色申告 |
スマホの本体価格が10万円未満であれば全額を経費として計上できます。また、青色申告の方は、条件を満たせば40万円未満のスマホも使い始めた年に全額を経費として計上できる場合があります。
本体価格が10万円未満のスマホは、「消耗品費」として、事業で使い始めた日に全額を経費として計上できます。
分割払いで購入した場合でも、経費として計上するのは本体価格の総額です。毎月の支払いごとに経費を計上する必要はありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本体価格 | 1台あたり10万円未満 |
| 勘定科目 | 消耗品費 |
| 経費を計上する日 | 事業で使い始めた日 |
| 対象者 | 青色申告・白色申告どちらも可 |
96,000円のスマホを24回払い(月4,000円)で購入し、3月1日から仕事で使い始めた場合
使い始めた日に、本体価格の総額を次のように記帳します。
購入したときの仕訳
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 96,000円 | 未払金 | 96,000円 |
毎月の引き落としでは、新たに経費を計上することはありません。購入時に計上した「未払金」を減らす処理を行います。
毎月支払うときの仕訳
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 4,000円 | 普通預金 | 4,000円 |
10万円以上20万円未満のスマホは、「一括償却資産」として処理する方法を選べます。一括償却資産とは、購入した金額を3年間で均等に経費として計上する制度で、通常の減価償却よりも計算がシンプルです。
白色申告の方や、青色申告の少額減価償却資産の特例を利用しない場合の選択肢の一つです。
青色申告をしている方は、「少額減価償却資産の特例」を利用できる場合があります。
2026年4月1日以降に事業で使い始めたスマホであれば、1台あたり40万円未満まで、使い始めた年に全額を経費として計上できます。
例えば、25万円のスマホを分割払いで購入した場合でも、この特例の対象となれば、使い始めた年に25万円全額を経費として計上できます。支払いが続いていても、経費計上のタイミングは変わりません。
※この特例には、年間300万円までなどの適用条件があります。
40万円以上のスマホは、原則として減価償却の対象です。
勘定科目は「器具及び備品(または工具器具備品)」を使用し、一般的には耐用年数4年で経費として計上します。
なお、国税庁の耐用年数表では「電話設備」の耐用年数は10年とされています。スマートフォンの取り扱いについて判断に迷う場合は、管轄の税務署や税理士へ確認すると安心です。
10万円未満かどうかを判断するときは、税込価格と税抜価格のどちらで判定するかを確認する必要があります。
これは、採用している経理方法によって異なります。
例えば、本体価格が税込10万8,000円(税抜98,182円)のスマホの場合、税抜経理では10万円未満となりますが、税込経理では10万円以上として扱われます。
どちらの経理方法かわからない場合は、税理士へ相談するか、前年の確定申告書を確認すると安心です。
仕事とプライベートの両方でスマホを使う場合は、「家事按分(かじあんぶん)」が必要です。
家事按分とは、仕事で使っている割合だけを経費として計上することです。
例えば、15万円のスマホを購入し、仕事で使う割合が60%であれば、経費として計上できるのは9万円です。残りの6万円はプライベートで使用する分として経費にはできません。
例
仕事で使う割合は、使用時間やデータ通信量などをもとに、合理的に説明できる基準で決めておきましょう。
経理処理の注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。
高額なスマホでも、ルールに沿って適切に経費処理を行えば、安心して業務に活用できます。購入前に処理方法を確認しておくことで、経理作業もスムーズに進められるでしょう。
法人でスマートフォンを導入する場合は、法人契約を利用することで、業務用とプライベート用を分けて管理しやすくなります。また、請求や契約管理をまとめられるため、経理や運用の負担軽減にもつながります。
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